@article{oai:wayo.repo.nii.ac.jp:02000010, author = {甲斐,万里子 and KAI,Mariko}, journal = {和洋女子大学紀要, The journal of Wayo Women's University}, month = {Mar}, note = {PDF, 本研究の目的は、ピアニストの熟達化に留学経験がどのような意味をもつのかを明らかにすることである。ヨーロッパへの留学経験のある30代後半から40代前半のピアニスト4名への半構造化インタビュー調査を行い、学習内容を聞き取った。日本でのレッスンや練習、日々の試行錯誤の内容と、留学期におけるそれらを抽出し、比較、分析することで、ピアニストの熟達化における留学経験の意味を明らかにした。  分析の結果、インタビューデータは大きく「基礎的な知識、技術の獲得」「経験に基づく表現への反省と課題の模索」「課題解決への糸口となる出会い」「理論的、身体的に矛盾のない演奏の構築」「妥当かつ独創的な演奏の構築」の5カテゴリに分けることができた。留学期は、理論的、身体的、作曲家の語法的に無理や矛盾のない演奏を1人で構築できることに向かう時期と位置付けられることが示された。海外の文化や風土に触れることが深い表現につながることは、観念的には語られるところであったが、明確にその効果が示されることのなかったプロセスの一端が、本研究を通して明らかにできた。また、従来不明であった、ピアニストの熟達化の時間的なスパンについても、課題解決の質の変化や独り立ちのタイミングの自覚を視点にすることで傾向を見出すことができた。独り立ちできたとするタイミングについては、指導者として一定のキャリアを積んだ30代半ばから後半と自覚するところであった。ただし、この年代になったことやキャリアを一定年数積んだことが独り立ちに直結するわけではない。自覚の根底には、細部にわたって説明可能な表現で作品を構築していける自負があった。そして、その表現が理論的に妥当でありながら、自らの感覚や感受性、そして身体から自然に導き出せるものであることが、独り立ちの自覚の鍵となることが明らかとなった。  本研究では留学経験のあるピアニストのみを対象としたことから、日本で研鑽を積んだピアニストとの違いを検討することができておらず、厳密には、留学期に特有の意味かは判然としない。そこで今後は、対象を広げ、日本で一貫して研鑽を積んだピアニストや留学先による学習内容の違いを検討していきたい。}, pages = {53--64}, title = {ピアニストの熟達化過程における留学経験の意味 ―― ピアニスト4名への半構造化インタビューを通して ――}, volume = {65}, year = {2024}, yomi = {カイ,マリコ} }